パティシエとして働いていく上で、悩むことは当然ありますよね。人によって悩みは様々ですが、実際に筆者もパティシエ時代はとても悩んでいました。
この記事を見ているということは、あなたも同じようにパティシエとしての悩み事や辛い気持ちを抱えていたり、今すぐ逃げ出したいくらい「パティシエを辞めたい」と考えているのではないでしょうか。
仮にそうでないとしたら、今回の記事は特に関係ないことかもしれません。
あなたが本当にパティシエを辞めようかと悩んでいるのであれば、考え方が変わるキッカケになるかと思いますので是非とも最後まで読んでみてください。
パティシエが悩むツライこと・大変なこと
実際にパティシエの仕事は1年以内に7割以上の人が辞めてしまうと言われている離職率のかなり高い職業です。
私の周りでもパティシエになり今もなお「続けている」という話を聞くことはかなり珍しいです。華やかなイメージがある一方でそれくらい「辞める」という選択をする人は少なくありません。
そもそも、パティシエ業界を離れる人たちはどんな理由で辞めていくのでしょうか。
パティシエをツライと感じる理由で筆者が一番多いと実感しているのは「過酷な長時間労働」です。どれだけお菓子作りが大好きな人でも、朝から夜まで業務としてお菓子作りに携わることになれば流石にどこかで嫌気がさしてしまいます。
将来的には独立して自分の店舗を出店したいと夢を持ちながら働くことが多くなりますが、実際に独立するまでの道のりは非常に険しいため夢を叶える前に挫折してしまってもおかしくありません。
パティシエとして「有名になりたい!」「独立したい!」「お菓子で皆を幸せにしたい!」このような気持ちでモチベーション高く仕事に取り組まなければ、過酷な労働環境に心が折れてしまうことでしょう。
パティシエが辞める主な理由
なぜ、パティシエを辞めたいと感じてしまうのかキッカケとなる理由について、筆者や口コミの体験談を元に記載していきたいと思います。
これからパティシエを目指そうとしている人はしっかりと目を通していただき、就職してから後悔してしまわないように気持ちの準備をしておきましょう。
アナタの作ったケーキやスイーツで、子供から大人まで笑顔という幸せを提供できる素晴らしい仕事ですが、裏では汗水流してパティシエが頑張っています。
生半可な気持ちでは成り立たない業界かもしれませんので厳しい見解が多くなるかと思いますがガッカリすることなく現実を受け止めるようにしてください。
□パティシエが辞める主な理由
- 長時間労働
- 給料が少ない
- 人間関係
長時間労働
まず多くのパティシエが1番最初に辞めたいと思う理由は、「労働時間」に関する問題でしょう。
朝早い時間から夜遅くまで、ほとんど一日中を職場で過ごすことになります。プライベートな時間はほとんどないと言えるでしょう。
そのため、睡眠不足になりやすく頭がボーッとしたり、身体が重く感じたりと、体調不良に繋がることも珍しくありません。
忙しいなりに仕事へと没頭できればいいのですが、無理をしてしまい身体を壊して辞めていくパティシエも何名か見たことがありますので労働環境の過酷さが読み取れます。
どれだけ好きな仕事でも労働時間が長くなると心が折れてしまうのは当たり前。
もちろん全ての職場において長時間労働を強いられる訳ではありませんが、他の業界と比較すれば長くなりがちなので知っておくべき内容になるでしょう。
給料が少ない
パティシエ業界は給料が少ない傾向にあり、入社の前から分かっていることではあるのですがそれでも裕福な暮らしが出来ないことにストレスを感じてしまいます。
また将来の事を考えた時に、結婚や出産など人生におけるイベントを考えると家庭を支えていくためにはもっと給料が必要だと不安を感じるようにもなってきます。
パティシエとして勤務歴が長くなれば長くなるほど、いろいろな不安や不満が積み重なり、ある日ふと辞めたくなることも珍しくありません。
多くのパティシエが独立を目標としており、自分のお店が持てれば確かに稼ぎは大きく変化する可能性が高いので夢のある業界になることは間違いはないでしょう。しかし一般従業員として働いている間は20代後半~30代になった時に同じ世代の人達よりも収入が少ないため、焦りを感じて転職を決意する人もたくさんいらっしゃいます。
人間関係
筆者はパティシエ業界で人間関係に困っている方を幾度となく見てきました。
前項で解説した長時間労働という環境は自分だけでなく、同じ職場で働いてるスタッフ全員に当てはまる項目でもあるためイライラしやすかったり、雰囲気が常にピリピリしていたりと人間関係が悪化しやすかった印象を今でも覚えています。
自分自身が「きついなぁ」と感じていれば、周りのスタッフも睡眠不足やストレスが溜まっていることが多いので、それぞれの従業員が人当たりも強くなってしまうことでしょう。
酷い場合は暴力行為や非道なハラスメントに心と身体を傷つけられ、退職していく可哀そうな従業員もいらっしゃいました。
また残念ではありますが、筆者が働いていた職場では「新人いじめ」をしている人達も一定数いましたので、新人のパティシエはうまく立ち回るコミュニケーション能力を身につけていた方が良いでしょう。
まぁいじめに関しては、どんな職場でも起きてしまう可能性がありますので万が一にでも当事者になった場合は必ず誰かに相談するようにしてください。
パティシエの幸せな悩み
厳しいパティシエ業界の悩み事ばかり記載してきましたが、もちろん幸せな悩みというものもたくさんあります!
パティシエ本人からすれば深刻な悩みになるかもしれませんが、周りの人達から見るとちょっぴり羨ましく思えるような幸せな悩みについてご紹介します。
□パティシエの幸せな悩み
- いつでもスイーツが食べれてしまう
- 話題のスイーツ店を心から楽しめない
いつでもスイーツが食べれてしまう
パティシエの仕事はたくさんお菓子を作って試行錯誤するようなイメージありますよね?
そのイメージは間違いではなく、実際に新商品を作る時は何度も味見を繰り返して完成に辿り着きます。そのため一日に食べるスイーツの量が膨大になる時もありますし考え方によっては、まさに毎日が誕生日のようだと感じることでしょう。
いつでもスイーツを食べれるなんて羨ましくてたまりませんが、パティシエからすれば胃もたれしてしまいツライ悩みになることも。
気を抜いてしまうと肥満や糖尿病になる可能性もあるため油断大敵です。
話題のスイーツ店を心から楽しめない
皆さんはテレビや雑誌で紹介された話題のスイーツ店って気になりますよね。パティシエ業界で働いていると、そんな話題のお店を心から楽しめなくなる可能性もあります。
なぜかというとパティシエはケーキを食べる際に、ケーキのクリームやスポンジなどの層になっている各部分を分解し材料や製造過程を想像しながら食べがち。そのためスイーツを楽しむというよりも「分析」する気持ちが強くなってしまい心から味わうのが難しくなってしまいます。
お菓子を食べるときに、心から楽しめないのはパティシエならではの職業病だと言えるでしょう。
まとめ
長い時間身を置いて働くパティシエの職場では、人それぞれ目指している目標は違うかもしれません。
その中でもパティシエとして仕事をしているアナタが喜びや幸せを感じる瞬間は必ずあるはずです。もしもそれが見えなくなっているのであれば、もう一度探してみていただきパティシエを目指していた初心の気持ちを思い出してみてください。
ツライ悩みや、幸せな悩みをたくさん感じているかもしれませんが、パティシエになって感じた幸せな瞬間を日々のモチベーションのひとつとして、これからも全力でお菓子作りを楽しんで欲しいと思います。
パティシエを辞めたいと思う理由は人それぞれですが、周りから「根性がない」「辞めるのは逃げだ」なんて言葉をぶつけられたり、自分で自分を責めたりしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、ひとつ言えるのは辞めることは立派な選択肢であり、決して悪ではないということ。
厨房の中で長時間仕事をしていると、自分の世界も視界もどんどん狭くなっていきます。 厳しい環境の下で働いていると、将来への不安も募ってしまいます。 でも、全ての人は自分の意志で行動を起こすことができますよね。
「辞める」もよし、「辞めない」もよし、もしかすると「一度辞めてみる」のもひとつの選択肢になるかもしれません。迷ったとき、悩んだときは、もう一度自分の気持ちと向き合って、未来に繋がる選択を選んでほしいと思っています。